GRUEN社は1874年に創業したアメリカのメーカー。
懐中時計のムーブメントはスイスから輸入し、それを自社製のケースに組み込んで販売していました。
このケースは普通の円形ですが、5角形の物やデザイン性の高いものを多く作っていたようですね。
モデル名に付いている"-THIN(薄い)"という名前の通り、厚みは9mm程。
THINシリーズで"ULTRA-THIN"、"VERI-THIN"、"SEMI-THIN"があり、ULTRAが最も高級なもの、SEMIが廉価版です。
ムーブメントを見てみましょう。
廉価版とは言え16石仕様で石も大きく、綺麗なブリッジタイプのムーブメント。
控えめなコート・ド・ジュネーブ模様とテンプ受け模様の他には、あまり装飾はありませんね。そっけないくらいw
"SWITZERLAND"の文字からこのムーブメントがスイス製と分かります。
"2POSITIONS"というのは、2姿勢で調整してありますよということ。まぁ、廉価版ですからね。
穴石の固定にシャトン(枠)を使わず受板に直接圧入しているので、多少新しい時代の物でしょうか(工作精度が上がり、シャトンを使用しなくても正確に石の位置(=軸芯)を合わせられるようになった)。
とは言え、チラネジ&ミーンタイムスクリュー付きのバイメタル切りテンプや綺麗に磨かれたスワンネック緩急針など、見ごたえはあります。
この時計の魅力は文字盤にもあります。
中央の花の飾り彫り、可愛いですよね(ちょっと荒いですけどw)。メタルのダイヤルだからできる装飾です。メタルは腐食が怖いですが…。
しっかりダブルサンク風に加工しているところが細かいですね。
また、インデックスの外周にまで模様が入っているのは珍しいかも。
この時計もオークションで購入後オーバーホールに出しました。
不具合が何点かありましたが、ちゃんと修正してもらいましたよ。
それでも日差は+20~30秒は出てしまうかな…。
今後も定期的に整備して動き続けるようにしていきますね。
前回紹介したHamiltonの950
のようにムーブメントに魅力がある物もあれば、このグリュエンのように文字盤やケースに魅力がある物もある。
色んな楽しみ方ができるのが時計の良い所ですね(^^♪